脳神経外科

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脳神経外科では脊髄刺激療法を実施しています

担当 脳神経外科 笠井正彦

脊髄刺激療法とは

難治性の慢性疼痛のかたを対象として、痛みの部位に応じて頚椎、胸椎の硬膜外腔にリード線タイプの電極を挿入します。痛みを感じる部分に電気刺激を行います。痛みを感じる部位に電気のビリビリ感を感じさせることで痛みを緩和させる治療です。試験的に実施する場合は対外に電線を出して装置につなげます。最終的には心臓ペースメーカーと似た装置を体内に植え込みます。

難治性の疼痛で長期間悩んでいる方で、脊髄刺激療法の適応となる疾患

難治性の疼痛で長期間悩んでいる方で、脊髄刺激療法の適応となる疾患

図のような疾患、状態のかたが対象となります。まずは受診いただきご相談ください。これまでの経過がわかる紹介状などがあればよいですが、無くても治療できますのでお気軽にご相談ください。

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治療の実際

手術には2段階ございます。

  • トライアル
  • 植え込み

トライアルとは治療の効果を確認するためにリード線のみを植え込む術式です。通常2本のリードを植え込みます。

トライアルの経過 (120-150分)

トライアルの経過
  1. 局所麻酔下に硬膜外ブロック(注射)と同じ要領で経皮的に硬膜外腔に注射針を進めます。刺激電極を針の中を通して硬膜外腔に挿入します (10-20分)。

  2. 刺激電極に体外用刺激装置を接続し、テスト刺激を行います。その間、X線透視下で電極の位置を調整して最も刺激効果が最大になる位置で固定し、針を抜去して刺激電極のみを残します(30-60分)。さらに5-30分のテスト刺激を行います。この状態で約1週間のあいだ効果を観察(テスト期間)します。有効であれば改めてジェネレーターの埋込みに進み、無効であれば抜去します。

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脊髄刺激療法の長所と短所

トライアルの経過

この治療法は慢性疼痛の治療として十分な効果が示されています。以前は健康保険適応でなかったため、多額の治療費が掛かりました。 しかし現在では保険適応となり、その普及が大いに期待されています。

長所

脊髄刺激療法の長所と短所
  1. 継続的・持続的にも、断続的にも、自由な刺激の調節が可能です。
  2. 好みに応じて刺激のパターンを自由に変えることが可能です。
  3. 埋込み以後は内服などの薬物が不要となるか、減量の期待ができます。
  4. 日常生活の制約が少ないので、職場復帰、入浴、運動などが可能となります。
  5. モルヒネが全く効かない難治性疼痛にも効果が期待できます。
  6. 刺激装置を撤去すれば、(腹部、側腹部、背部に5cm 程度の傷は残る) 影響を残さず元に戻ります。
  7. 開発されて半世紀以上経過しており、充分な臨床実績が積み重ねられています。
  8. 既に確立された方法で、安全性は各方面で実証されています。

短所

脊髄刺激療法の長所と短所
  1. 手術が必要(5cm 程度の切開と14日程度の入院)です。
  2. 異物を植え込む治療です。
  3. これまでは電池交換が必要でしたが、最新の充電式は交換不要です。
  4. MRI はこれまで実施できませんでしたが、最新の機種であれば限定的ですがMRI実施可能となりました。
  5. 全ての疾患の疼痛に対して有効ではありません。疾患によって異なりますが、有効率は50~90%です。
  6. 疼痛が完全に消失する訳ではありません。時には疼痛が完全に消失する場合もありますが、通常は疼痛が我慢できる程度まで減少します。
  7. マイクロ波(極超短波、ジアテルミー)などの理学療法では、金属部分に高熱が発生し、熱傷を負いますので禁忌となります。
  8. 高圧電線の傍では自動停止します。

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脊髄刺激装置埋込み術 ~手術に伴う合併症~

細菌感染

小さいながら手術ですので、細菌感染の可能性は他の手術と同様の確率で存在します。感染予防のために手術日には抗生物質の点滴を行います。稀にですが細菌感染が起こりますと、刺激装置を撤去せざるを得ないことがあります。

特に、硬膜外腔に感染が起こると硬膜外膿瘍という状態になります。この場合は手術によって膿瘍を除去し洗浄する場合もあります。感染は手術のあと数日以内に起こりますが、稀に何年も経てから起こる場合もあります。糖尿病の方は感染を起こしやすく注意を要しますので、必ず治療を受けて血糖値が安定してからにしましょう。

術後出血

稀に手術後に出血することがあります。特に、硬膜外腔に出血(硬膜外血腫)すると、手術によって血腫を除去する場合もあります。出血は抗凝固、抗血小板剤を服用する人に発生しやすくなりますので、手術前に抗凝固剤、抗血小板剤を中止し点滴を実施します。出血傾向のある方、血小板減少症の方は禁忌となります。

神経刺激

脊髄刺激療法の長所と短所

手術中に注射針や電極の先端が神経組織を刺激することがあり、稀にビリビリした感じが1-2ヶ月残る事があります。

頭痛と嘔気・嘔吐

誤って硬膜を穿刺することがあります。髄液が漏れ出すと、頭痛と嘔気・嘔吐が起こることがあります。これは、手術後1-3日前後にはじまり、1週間ほど続くことがあります。

ご相談・診察ご希望のかたは
脳神経外科 笠井 の 担当日(月・水・木曜日)に受診してください